空気公団 /山崎ゆかり

アルバム『夜はそのまなざしの先に流れる』

空気公団ニューアルバム 「夜はそのまなざしの先に流れる」
2012年11月21日発売

2012年11月21日『夜はそのまなざしの先に流れる』発売にあたり、常日頃素晴らしい作品を生み出しているクリエイターの方々から素敵なコメントを頂きました!

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人は産声をあげたその瞬間から何かを失っていると言います。
その失われた「何か」を、「何か」が何なのかもわからないまま
取り戻すために、死ぬまで生き続ける。
その「何か」っていうものをもしかたちに表せるとしたら
こういうことなのも、
と空気公団さんの音を聴きながら思っていました。

横浜聡子

横浜聡子
1978年、青森県青森市生まれ。
映画監督。長編1作目となる『ジャーマン+雨』が、自主制作映画としては異例の全国劇場公開。
同作にて2007年度日本映画監督協会新人賞を受賞。待望の商業映画デビュー作となる『ウルトラミラクルラブストーリー』が2009年初夏に全国公開。
2011年、短編作品『真夜中からとびうつれ』『おばあちゃん女の子』公開。
2012年、弘前市企画『りんごのうかの少女』製作(劇場公開未定)。

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空気公団の現場は一風変わっている。
構築する緻密さとその場の緩やかな自由とが入り交じった現場だ。
一見張りつめたように思えるが、その実とても穏やかだ。
そして、空気公団はいつだって自分たちに新しい。
それは関わる者たちをも新しくする。
もちろん音を慈しむ人達にこそ伝わる新しさだろう。

荒井良二

荒井良二
1956年山形県生まれ。
絵本の制作を中心に、イラストレーション、小説の装画、挿絵、広告、舞台美術、アニメーションなど幅広く活躍中。『ルフランルフラン』で日本絵本賞を、『たいようオルガン』でJBBY賞を、『あさになったので まどをあけますよ』で産経児童出版文化賞・大賞を受賞するなど受賞多数。2005年には日本人として初めてアストリッ ド・リンドグレーン記念文学賞を受賞。
http://www.ryoji-arai.info/
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僕のお店のエアコンには、「1999空気公団展」というステッカーが、今でも張ってあります。年月が経ちました。人は同じ河に二度足をつけることはできないといいます。河の流れも、人も、常に変わるから。「空気」も同じです。今、山崎さんの歌声が、明日君に会えるかな、といいました。きっと会えますよ。

藤谷治

藤谷治
作家。2003年に『アンダンテ・モッツァレラチーズ』でデビュー。
2008年『いつか棺桶はやってくる』が三島賞候補。近作に『花のようする』など。
http://www.ficciones.jp/
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「空気公団」を聴いて、自分が小学生のころに学校を抜け出して近所の団地の階段や出来立てのマンションのエレベーターで上がったり下がったりして遊んでいたことを思い出しました。
何故だかわからないが、一日中あがったりさがったりして遊んでいて、そこから見える景色や自分の居場所を楽しんでいたのかもしれない。その後、(今から思うとたぶん若い)先生は泣き出すし、親にはさんざん叱られたのでしたが当の本人はなんで怒られるのか全くわかっていなかったのです。
昭和のニュータウン、団地や公団やマンションの、明るい家族や未来のイメージの裏には本当は禍々しいものが常につきまとっていた(誘拐、青酸カリ、団地妻、受験勉強、金属バット殺人事件など)のを知るのはずっと後のことですし、現代はもはや明るいイメージさえも消え去って禍々しさの団地の中で人々は貧困に喘いでいるのかもしれませんが、たぶんもし自分があの時の小学生にもどっていたら、やっぱりただただ一日中あがったりさがったりして遊んでいたんだろうなと思うのです。
「空気公団」を聴 くとそんな気になる。だから一緒に旅に出たくなる、あとの事はそれから考えようって思います。

空族 相澤虎之助

相澤虎之助
1974年3月5日生まれ。富田克也監督作品・映画「サウダーヂ」共同脚本。
早稲田大学シネマ研究会を経て映像制作集団・空族に参加。
http://www.kuzoku.com/biography.php
監督作品「花物語バビロン」(8mm 40分)「かたびら街」(8mm 50分)「国道20号線」(共同脚本)。2012年、監督作品『バビロン2-THE OZAWA-』が公開される。

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空気公団の皆さんと出会ったのは10年前の冬だ。その日彼らはひじょうに無口で私たちはほとんど話す事が無かった/8年前私は彼らのライブにちょっとだけ出演した/その頃彼らと板橋大山の煮込み店に時々行った 大山の繁華街を彼らは「やま」と呼んでいた/今も毎回新作CDをくれるが私は新刊漫画をあげたことはない〈すみません〉

横山裕一

横山裕一漫画家
著書に
「ニュー土木」
「トラベル」
「NIWA」
「ベビーブーム」
(以上イースト・プレス)
「横山裕一カラー画集」
(ブルーマーク)
「アウトドアー」
(講談社)
「ベビーブームファイナル」
(アキオナガサワパブリッシング)
「カラー土木」(ナンヅカアンダーグラウド+picture box)
など

年末に単行本「ルーム」を発表予定(ハモニカブックス 2012 12月)
来年はアラタニウラノで個展( 春ごろ)のほか8月にはあいちトリエンナーレにも参加します
https://twitter.com/neomanga
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空気公団は探り続ける。
音楽を空気に乗せきる方法を。
静かでゆったりとした過激なアプローチで。
空気公団でしか成し得ないものはなんなのか?と。

空気公団は手を抜かない。
命題の答えを見いだそうと、マイペースに切迫している。微笑と緊張の狭間にいて。
都会に吹く風の中に、人工と自然のちょうどいい絡みを見つけ出そうとしている。余裕と必死のビブラートをもって。

われわれは人間である。
人と人の間にある目に見えない大切なものを、彼らは音という装置で耳に見えるものにしようとしている。
いつかわれわれが辿り着く場所から振り返ったとき、大切だとわかるポイントを、たった今も排出しているのだ。

倉本美津留

倉本美津留
1959年広島生まれ。放送作家。ミュージシャン。
「EXテレビ」「現代用語の基礎体力」など関西で伝説的な番組を多数生み出す。
その後、拠点を東京に移す。
「ダウンタウンのごっつええ感じ」「たけしの万物創世紀」「伊東家の食卓」「M1グランプリ」
をはじめ数々のヒット番組を担当。
現在「HEYHEYHEY」NHKこども番組「シャキーン!」から
「ダウンタウンDX」のトスポの声まで幅広く活躍中。
また、ミュージシャンとしてもNHKみんなのうたで「YOUに美津留」として「月」を発表。
「峯田に美津留」で、オリコンチャートイン。
2008年10月に「躾」がビクターよりリリース。

http://www.ninpop.com/


■『夜はそのまなざしの先に流れる』PV公開<11/23公開>

空気公団と雑誌『ビデオSALON』のコラボ企画です。
撮影現場で演奏した様子をそのまま録音し、また、5台のカメラで同時撮影しています。
撮影は「まとめを読まないままにして」のまるやまもえるさん。
すぐそばで演奏されているような雰囲気を存分にお楽しみ下さい!

空気公団 × ビデオSALON × EDIUS「夜はそのまなざしの先に流れる」

【演奏曲】
 1.きれいだ
 2.元気ですさよなら
 3.夜と明日のレコード

【撮影】
 まるやまもえる
【録音】
 idehof
【協力】
 Grass Valley
 長野電鉄株式会社
【Special Thanks】
 TAKAMURADAISUKE


■PVテスト映像 公開<11/4公開>

11/21に発売されるニューアルバムのPVテスト映像を公開しました。
撮影は「まとめを読まないままにして」のまるやまもえるさんです。

カメラの状態や場所の雰囲気(本編映像ではこの場所での撮影はありませんが…。)をみてみるということで、撮影の合間に<テスト映像>を撮影しています。

※途中、曲の構成を間違えてしまっています。
アルバム収録とはまた違った雰囲気をお楽しみ下さい!

空気公団ニューアルバム
『夜はそのまなざしの先に流れる』より
M8収録「あなたはわたし」


空気公団ニューアルバム「夜はそのまなざしの先に流れる」M8収録「あなたはわたし」


■CD詳細、コメント公開<11/2公開>

空気公団ニューアルバム
『夜はそのまなざしの先に流れる』
2012年11月21日(水)発売
DDCZ-1840 定価¥3,000(税込)

収録曲:
01 天空橋に
02 きれいだ
03 暗闇に鬼はいない
04 街路樹と風
05 つむじ風のふくろう
06 元気ですさよなら
07 にじんで
08 夜と明日のレコード
09 あなたはわたし
10 これきりのいま (全10曲)

演奏:
山崎ゆかり
戸川由幸
窪田渡
奥田健介(NONA REEVES)
山口とも

ゲスト演奏:
tico moon
山本精一

Photograph:TAKAMURADAISUKE
Design:thumb M
Special Thanks:バストリオ

▶参加メンバーからのメッセージ◀

アルバム完成おめでとう。水天宮前から天空橋へ意識を飛ばした、あの一度きりの特別なライブを思い出します。ヘッドホン越しにヒリヒリした空気を感じたあの夜に、こんな素敵な音像が記録されていたってこと。まだ見ぬ天空橋を思いながら。

奥田健介(NONA REEVES)

生ライブ、パフォーマンス入り、毎回あえて難解状況の中での
レコーディングに挑む空気公団、とどまるところを知らない。
ホールに来ているお客さんの顔すら認識する間もない
どこまでも続く緊張感、でもその状況でないと出てこない個々の
才能がふんだんに押し込められた新たな空気感。
これがいいんだなぁ。
2度とできない貴重な作品になっていると思います。
お聞き逃し無く。

山口とも

ある日、空気公団と出会いました。
一緒にライブをやりませんか、というお誘いでした。
それから、出来上がっていく音源がメールで届くたびに、部屋でも稽古場でも電車でも、くり返し聴いていました。
空気公団に、その音楽に対して、返事を送ろうと思った。
ある日、バストリオのパフォーマンスは、舞台上で演奏される音楽の中に、いました。
夜が、朝になってゆく光景を、みました。
夢みたいな一日として記憶されるその感触が、記録されて、繊細な作業で一枚のアルバムになっている。
そんな夢みたいな一枚が、「夜はそのまなざしの先に流れる」です。

今野裕一郎(バストリオ) 

昨年のもみじ市での出会いから一年、ご縁もあって空気公団さんの新しいアルバムの楽曲へ演奏で参加させていただきました。
空気公団さんの曲の中での演奏は、まるで時空を超えて旅をするロードムービーの一場面にそっと佇む、そんな素敵な経験でした。
この旅はまだまだずっとずっと続いていくのだと思いますが、その先にある景色に出会える事をとても楽しみにしています。

影山 敏彦(tico moon)

空気公団さんからレコーディングのお誘いを受けて、送られて来た楽譜と歌詞を初めて見た瞬間、綺麗な抽象画を受け取った様に感じました。
大切に積み重ねられた音たちの中に、ティコムーンが混ざるイメージを明確に伝えて下さる姿勢にとても共感をし、気持ちよく演奏をさせていただきました。ありがとうございました!
また音を重ねられる機会を心から楽しみにしています。

吉野 友加(tico moon)

空気公団の静謐な世界に、僕の歌、声をどうやって繋げるか、
録音の最中、そのことをずっと考えていました。
いままでに行った録音でもかなり慎重に声入れしました。
果たしてうまくいったのかどうか。。。
とにかくとても良い曲なのでぜひ聴いてみて欲しいです。

山本精一


■予告映像公開<9/28公開>
空気公団ニューアルバム「夜はそのまなざしの先に流れる」予告映像が公開されました。
録音の様子(7/6同タイトル日本橋公会堂ライブ)と共に収録全曲(一部)がお聴き頂けます。
是非ご覧になってみて下さい。


空気公団ニューアルバム「夜はそのまなざしの先に流れる」


■ライブ写真の紹介<9/13公開>
 この日から、アルバム制作が始まった。(7月6日・日本橋公会堂)

夕暮れ、窓辺で空を見ながら書いている。
空は少しずつ変化して、色が濃くなってきている。
街や木が深い色になって夜が近づいてきた。
ひとつずつ明かりがついていく。
夜がこの部屋の中にも、誰かの部屋にも、君の目にも来た。
「”今夜”もどこかの誰かの街へ、流れていくんだな。」

写真 : TAKAMURADAISUKE
7月6日、日本橋公会堂にて
空気公団、奥田健介、山口とも、バストリオ



今野さんと初めて会ったのは、渋谷の喫茶店だった。
ある方に仲介をして頂き、この機会が設けられ、話は進んだ。
そのときは舞台に立つ役者がまさか8人になるとは思わなかった。


この中のお二人は今回の役者オーディションにより決定された。
ライブをご覧頂いた方の記憶にあるだろうか、一番最初の曲「天空橋に」で、
最初に出て来たお二人がそうです。


役者の中で明かりを持っているのが、演出の今野さん。


役者の衣装は安食真さんによるもので、この日の為に制作された。
楽屋裏ではこの日も針と糸片手に微調整する姿があった。


ステージは演奏者も含めると5つレイヤーが存在している。
これはその3つのレイヤーが垣根を越えているところです。
音楽の中を自由に駆け回る役者を見ながら、
そこにいるのは自分ではないかと思ったりした。


これは一番手前のレイヤーで起こっている出来事。
奥は2つ目のレイヤー、とレイヤーがいくつも重なって物語が進んでいる。
この「レイヤー」という言葉が今回とにかく印象的で驚いた言葉だった。
音楽は見えず、舞台は見える、がしかし…、というふうに考えていくと、
「あ!」と顔を見合わせる程おもしろい話になる。


奥の役者の手にあるものは、空気公団メンバー写真で窪田が持っていた花。
あの写真で、造花、本、時計というのが思いつきではなかったというのが、
後に今野さんとのやりとりの中でわかった。


稽古を見に行ったのは6月下旬頃。
その前の演奏リハーサルが少し長引き遅くなってしまった。
その日はペアで議題を考え、実践発表して評価を受けるというもので、
果たしてこれがどんなふうに組み合わされ、ひとつになるのかと思った。
帰り道、役者にきいてみると、彼もまたそう思って楽しんでいるようだった。


ヘッドフォンでその場に居る演奏者と自分の音を聞く。
もっと言えば、ヘッドフォンから様々な合図も聞いていた。
その合図の、1.2.3.4といったカウントは実際には音源には入らないけれど、
一部残したいようにも思えてきた。戸川の声を加工したカウントではあるが。


当初全員アクリルパネルでとなったのだが、意見によりドラムのみとなった。
アクリルを用いてのリハーサルは当日のみだった為、見え方聞こえ方のチェックに力が入った。
奥の戸川は役者の動きを見ながら、いわゆる「曲間」を決める操作を手元で行っていた。
CDでは全編を通して聴くことが少なくなったかもしれないが、
ライブの曲間でも演じたように、そこにも続きがあると思っている。


本番を2日後に控えた7月4日。役者の通し稽古があった。
演奏の最終リハーサルは前日に終了していたので、その日は録音に合わせてみる。
戸川と窪田は楽器を持ち込み、その場で弾いて確認していた。
数週間前の稽古で見た断片がひとつの物語となり、方角を指す。
そこに向かえばいいのだなと、みんなの気持ちが高まっていた。


10曲演奏のあと、迫り来る会館の撤退時間をよそに、数曲演奏した。
今回のベーシック演奏メンバーは5人。
そして私はこれから録音の重ね部隊として、ある人を想像していた。


夜はそのまなざしの先に流れる。
この会場から録音が始まった。

いつもの帰りの電車で
ふとあることに気がついた
それは「穴」であり
わたしはそれが何なのか
ぼんやりとわかるが説明できない
これは何であるのか
人々に「穴」があいている
そこからいつもとは全く違うルートで
目的地を目指す
その道すがら思考する
この「穴」は何であってどこに続いているのか
目的地には知らなかったわたしがいた